相続争いでよくある事例
目次
相続争いでよくある事例
よく相談がある相続争いの事例をいくつか紹介します。
①一部の相続人が遺産を多く取得しようとし、他の相続人が反発してもめるケース。
戦前は「家督相続制度」というものがあり、長男がすべての財産を相続することができましたが、現在は子同士の法定相続分は平等であり、長男だから多くの遺産を相続するという主張は他の相続人からすれば受け入れがたいでしょう。
②亡くなった人への介護をしていたことを理由に寄与分を主張するケース。
介護した相続人が「私は介護に尽くしたから遺産を多くもらいたい。」と主張するものの、他の相続人は「法定相続分どおりに分けるべきだ」と反発するケースです。
③偏った生前贈与がなされていたケース。
亡くなった人が特定の相続人に、学費や結婚祝いなどの名目で、偏った生前贈与をしていた場合、他の相続人が「生前贈与分を考慮して相続割合をきめるべきだ」と主張してもめるケースです。
④不動産の分け方でもめるケース。
土地や建物などの不動産は、金銭と異なり、簡単に分割することができないので、その分け方でもめるケースです。
遺産に不動産だけでなく多額の預金があれば、1人は不動産を、もう1人は預金を相続することで公平性を保つことができますが、遺産が不動産だけだったり、預金が少ない場合は、公平に分けることが難しくなります。
不動産を売却して、その代金を分配することも選択肢となりますが、一部の相続人がそこに居住しており、売却が難しいことも少なくはありません。また、代償金でもめることもあります。
⑤思いがけない相続人がでてきてビックリなケース。
亡くなった人が知らない間に養子縁組をしていて、亡くなった後に相続人がそれを知ってもめるケースです。法律上、養子には実子と同じ相続分が認められている為、養子縁組によって相続分が減る実子や相続する権利自体
が失われる兄弟姉妹などが納得できないともめることがあります。
また、亡くなった人が再婚していた場合、前妻との間の子も法定相続人になります。後妻家族が再婚の事実を知らなかった場合、新たに相続人が現れて驚かされることがあります。「知らない人に遺産を取られたくない」といってもめますが、法律上は前妻との子にも相続分が認められている以上、遺産を渡さないという主張を貫くことは難しいでしょう。
こういった相続争いを未然に防ぐ為には、生前の段階から家族で相続について話し合ったり、遺言書を作成したり、信頼できる家族との間で信託契約書を作成したり(家族信託)、予防策を講じておいた方が良いかも知れません。
相続の専門家である司法書士がお役に立てることがございましたら、アット.法務オフィスにお問い合わせください。
著者
稲葉 尚士(いなば たかし)
神奈川県司法書士会所属
登録番号:第1111号
簡易裁判所訴訟代理権
認定番号:第302030号
担当分野:相続業務全般、債務整理