身寄りのない「おひとりさま」に終活は必要?
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身寄りのない「おひとりさま」にも終活は必要?
近年、「終活」という言葉を耳にする機会が増えているかと思います。
終活とは、誰にでもいつかは訪れる【人生の終わりに備えるための活動】のことです。
終活は決してネガティブなものではありません。残りの人生を大切に過ごすための活動で、今をより良く生きることにつながります。
終活をすることで、より自分らしく生きるために何が必要で、何を捨てれば良いのかが分かるのではないでしょうか。
そして、この「終活」については、一人暮らしの方や、家族と疎遠であるなどの理由により身寄りのない方といった「おひとりさま」こそが行った方が良いものと言えます。
◎「おひとりさま」が終活をするメリットは次の3つです。
①孤独死のリスクを軽減できること・・
「孤独死」という言葉をニュースなどで聞くと、「自分はそうなりたくない」と思う方が多いでしょう。
おひとりさまであれば、家族がいないため、孤独死の可能性が高くなるでしょう。終活を行うことで死後の準備ができるため、孤独死のリスクを軽減することができます。
②自分の死後の手続きが希望どおりにできること・・
終活することで、自分の希望した人に自分の財産を相続させることができたり、自分の葬儀や埋葬を希望どおりに行うことができたりするなど、自分が望まない形で死後の手続きが行われることを防ぐことができます。
③自分の亡き後、親族や周辺住民などの他人に迷惑をかけずに済むこと・・
何も用意せず、断捨離も十分できないうちに人生の最期を迎えると、疎遠だった親族に葬儀や遺品整理などの後片付けをさせることになります。
また、孤独死をしてしまうことで長い間誰にも発見されず、結果として異臭騒ぎを起こして周辺住民に迷惑がかかることもあります。
終活によって準備ができていれば、そういった方々への迷惑を少なくすることができるでしょう。
◎では、ここからは、おひとりさまの終活でやっておくべきことを紹介していきます。
まずは、法的な知識が必要とされることから・・
①遺言書の作成・・
自分の希望どおりに財産を相続して欲しいと考えている方は、遺言書を作成しましょう。
終活では、エンディングノートに自分の想いをしたためる方法も良いとは思いますが、エンディングノートには財産を移転させる法的効力が無いため、法的効力のある遺言書を作成することにより、確実に自分の財産の相続を行っていく必要があります。
②死後事務委任契約・・
死後事務委任契約とは、自身が死亡した後の葬儀や埋葬、公共サービスなどの解約手続きなど各種手続きの事務を第三者に行ってもらう契約のことです。この契約をしておくことにより、疎遠になった親族等に迷惑がかかることを防ぐことができます。
③任意後見契約・・
任意後見契約とは、自身が認知症になった場合に、財産管理や身上監護を行ってくれる人を、判断能力が十分なうちに予め決めておく契約のことです。
任意後見契約では、法定後見制度と異なり、契約の相手方が後見監督人となるため、予め信頼関係のある人を選べる点でメリットがあります。
次に、自身の身近なところから・・
④生前整理や断捨離をする・・
元気なうちに身の回りのものを整理整頓しておけば、日常生活で物を探し回ることもなくなります。
また、断捨離ブームに乗って、要らなくなったものをリサイクルショップに出品している方もいます。
⑤医療や介護の意思表示をしておく・・
おひとりさまの終活では、家族のいる方以上に医療や介護の意思表示をしておくことが重要です。
⑥葬式やお墓のこと・・
おひとりさまの終活では、葬式やお墓のことを検討することが必要でしょう。
⑦見守りサービス・訪問サービスなどの各種サービスの利用・・
孤独死を避けるためには、見守りサービスなどを利用する方法が考えられます。
例えば、「郵便局の見守りサービス」を利用すると、声掛けで安否確認をしてくれたり、困りごとや相談・買い物支援まで実施してくれるので、おひとりさまにとって非常に心強いのではないでしょうか。
また、身寄りのない方は、身元保証人がいないために介護施設への入所や病院への入院ができない可能性があります。こうした事態を避けるために、身元保証サービスを利用することで、身元保証人を引き受けてくれることができます。
その他、
⑧お金のシミュレーションや用意、ペットの預け先を決めておく等・・
◎このような「おひとりさまの終活」を安心して行うためには、50代などの早いうちからスタートするのがおススメです。早くから準備をすることによって就活にかかる予算を多く確保することができ、自分の希望に近づける終活をすることが可能になるでしょう。
そして、安心して終活を行うことができるように、特に遺言書の作成などでは、専門家に相談してください。
終活では契約に関するものが多くあり、専門家に相談しながら就活するとトラブルになりにくく、安心と言えるでしょう。
当オフィスでは、終活に関するご相談を承っております。
終活に関して関心のある方やお悩みの方は、お気軽にアット.法務オフィスにお問い合わせください。
著者
稲葉 尚士(いなば たかし)
神奈川県司法書士会所属
登録番号:第1111号
簡易裁判所訴訟代理権
認定番号:第302030号
担当分野:相続業務全般、債務整理