離婚した元夫との子には相続権がある?
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離婚した元夫との子には相続権がある?
離婚をすると、元妻には相続する権利はありませんが、元夫との間の子には相続をする権利があります。
たとえ離婚する際に妻側についていき、元夫とはまったく疎遠になっていた子であっても相続する権利はあります。
そして、元夫が再婚しており、後妻との間に子どもがいる場合には、その子と平等に相続する権利があるのです。
例えば、元夫が亡くなり、前妻との間の子が1人、後妻と後妻との間の子が2人いたとすると、法定相続分は「後妻が2分の1」、
「子3人(前妻の子1人+後妻の子2人)が各6分の1ずつ」になります。
前妻には相続する権利はありません。
さて、ここで、2つほど問題を挙げてみたいと思います。
①(問)元夫が多額の借金を残して亡くなった場合、元夫との間の子も相続人である以上、相続放棄をしなければならないのか?
(答え)もちろん相続人である以上、相続放棄をしなければなりません。
そして、ここで注意して頂きたいことは、相続放棄は原則として、「自身が相続人であることを知ったときから3ヶ月以内にしなければならない」ということです。もし自分には関係が無いだろうと思い込んで3ヶ月以上何もしないと、多額の借金を背負うことになるかも知れません。
また、元夫の債権者から借金返済の請求をされ、「分かりました。分割でも払っていきます。」なんて言ってしまったら、単純承認をしたことになり、以降相続放棄をすることができなくなってしまうかも知れません。
②(問)元夫との間の子が「未成年」である場合、誰が遺産分割協議や相続放棄などの重要な手続き(法律行為)を行うのでしょうか?
(答え)この場合、未成年の子の母親自身は離婚した時点で他人となり相続人とはなりませんが、子どもの法定代理人として子どものために手続きをすることになります。
もし元夫との間に未成年の子が2人いる場合は、母は同時に2人の代理人にはなれないため、うち1人分は家庭裁判所に申し立てをして特別代理人を選任してもらう必要があります。
◎最後に、元夫の立場として・・
たとえ前妻との間の子と疎遠であったとしても、実子には変わらず、相続権はあります。
元夫が遺言書を遺さずに亡くなった場合、前妻の子と後妻の子との間で遺産分割協議をすることになります。
そして、不動産の名義変更や預貯金の解約を行う際には、相続人全員分の実印や印鑑証明書を用意する必要があります。
ここで、後妻との間の子(現在同居している子)にすべての財産を遺したいと思ったり、子ども同士が揉めるのではないかと不安に思ったら、「遺言書」を遺しておくことが重要です。
遺言書を遺しておけば、前妻との間の子が関わらなくても不動産の名義変更や預貯金の解約手続き等を行うことができるのです。
但し、前妻との間の子にも遺留分がありますので、そちらを考慮したうえで遺言書の内容を決めた方が良いでしょう。
横浜で相続・遺言に関するご相談がございましたら、まずはアット.法務オフィスにお問い合わせください。
著者
稲葉 尚士(いなば たかし)
神奈川県司法書士会所属
登録番号:第1111号
簡易裁判所訴訟代理権
認定番号:第302030号
担当分野:相続業務全般、債務整理